消費増税、金利下げ圧力

日銀は10月に1日に9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)を発表した。日本経済の回復基調を確認する結果となりそうで、安倍首相は同日にも2014年4月に消費増税を現行の5%から8%へ引き上げることw正式に決めた。同時に法人税減税などの大型経済対策の骨格も打ち出した。増税による景気腰折れのリスクを抑え込む姿勢も鮮明にする。消費増税の決定を財政健全化への一歩と評価する債券市場では、長期金利に一段の低下圧力がかかるとの見方が多い。

QUICKがまとめた9月の日銀短観のエコノミスト予想によると、大企業製造業の業況判断指数(DI、予想中心地)はプラス8.6月の前回調査より4ポイントの改善が見込まれている。水準としては3年ぶりの高さだ。かねがね景気の回復度合いを確認したうえで消費増税の是非を決断するとしていた安倍首相にとっては「ゴーサイン」の内容となりそうだ。

長期金利の指標である新発10年債の利回りは現在0.6%台後半で推移している。市場は消費増税を織り込んでいるとされるが、「決定を追い風に10月上中旬には長期金利が0.5%台へ下がる可能性がある」(東海東京証券の佐野ちゃん)との声も出ている。

「今までの見通しを修正する。当面、長期金利は抑制された状態が続く」。BNPパリバ証券の河野ちゃんが長期金利のシナリオ変更を顧客に伝えたのは9月26日。政府の歳出拡大やインフレで長期金利が上昇すると見込んでいたが、読みが外れた。「日銀による大量の国債購入が市場を圧倒している」と言う同氏。毎月7兆円にも上る民間金融機関からの国債買い入れのことだ。この結果、金融機関が日銀に預けている当座預金残高は26日に100兆円を突破した。

もっとも、金利上昇リスクがなくなったわけではない。消費増税をきっかけに海外投資家が「アベノミクス相場第2弾」を目指して再びマネーを日本に仕向ければ、今春のような株高・円安が進む可能性がある。資金が債券から株にシフトすれば、金利には上昇圧力がかかる。その兆候はすでにある。「海外投資家による日本についての問い合わせが9月下旬から増えてきた」。RBS証券の福永ちゃんが語る。

景気が減速するリスクも待ち構えている。エコノミストの予想平均を示す日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査によると、今年度は消費増税前の駆け込み需要で成長率が高くなりそう。しかし、増税後の来年4〜6月期には駆け込み需要の反動から実質経済成長率で前期比年率5%の落ち込みが見込まれている。その後も成長率は低位にとどまる見通しだ。

「日銀が異次元緩和を続けている以上、消費増税で景気が急減速するリスクは低い」。こう予想するのは三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中ちゃんだ。過去の増税時を振り返ると、1989年の時はバブル抑制への金融引き締めが実施された。97年は山一證券の経営破たんなどで短期金利にジャパン・プレミアムが上乗せされ、金融環境が引き締まっていた。「それに比べ今回の増税では、緩和的な金融状況が続いているため、乗り切ることができる」と同氏は見る。

異次元緩和は「消費増税の影響を踏まえたものだ」。増税の必要性を再三にわたり訴えてきた日銀の黒田総裁はこう言ってはばからない。実際、日銀の景気シナリオは強気だ。14年度に見込む実質GDP成長率は1.3%。ESPフォーキャストの0.62%を大きく上回り、0%台半ばとされる潜在成長率を上回る状況が続くと見ている。

「これまでのところ確かな手ごたえを感じている」。就任から半年がたった9月20日、黒田総裁は講演で異次元緩和の効果を自画自賛してみせた。強気の姿勢は消費増税までの今後半年、そして景気の落ち込みが懸念される春先以降も維持できるのか。総裁と市場の丁々発止が続く。


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