ノーベル賞学者の投資指南

今年のノーベル経済学賞の受賞が決まったエール大のロバート・シラー教授は実学の人だ。行動経済学の草分けとしtえの研究もさることながら、二尾のマーケットにも目配りし、予想が当たることで定評がある。だからウォール街も常に発言に耳を傾ける。

市場は参加者の心理を反映し、時として合理性を欠く動きをする。そんな認識をもとに、2000年にかけてのITバブル、2006年にかけての住宅バブルに警鐘を鳴らしたことはよく知られる。14日の受賞会見でも、投資家が気にする問題をめぐって多くの質問が飛び、教授は自身の予想を披露した。

まず米債務上限の引き上げ問題。会見時点では与野党の溝が埋まらず、期限の17日を前に米国の債務不履行(デフォルト)懸念も高まっていた。だがシラー教授は「まだ協力への機運は残っている」と述べ、市場に「大変なことは起きない」と断言。与野党が期限前夜に歩み寄った11年の債務上限問題のパターンを繰り返す可能性を指摘した。結果はどんぴしゃだった。

株価の見通しはどうか。シラー教授は、スタンダード&プアーズ500種について、過去10年の平均1株利益に対する株価倍率をはじき公表している。その指数は足元で24倍強。「いくぶん高め」で、「調整するかもと心配している」。ただ2000年のITバブル時の46倍に比べれば低いだけに「分散投資のポートフォリオには含むべきだ」と指南した。

さらに米住宅価格。シラー教授は、自身の調査をもとに「住宅を買ったばかりの人は価格が2006年のピークに戻るのは2030〜40年代になると予想している」と述べた。「短期では反発が見込めても、長い目でみて楽観的ではない」との分析だ。客観的に価格を判断できるブラックストーンなどのプロの投資家が多く参入したことも、価格の上昇を抑えそうだという。

FRBの次期議長に指名されたジャネット・イエレン副議長の手腕についても見通しを問われた。ここでは「極めてモラルがある」「正しい信念の持ち主」で「最近の講演録を読み感銘した」とべた褒め。政策運営については「何も言うべきことがない」と成功を確信する。

ただし書きは必要だろう。シラー教授とイエレン氏は、いわば同窓。ともにノーベル経済学賞受賞者の故ジェームズ・トービン氏を恩師と仰ぐ。さらにシラー教授は、イエレン氏の夫で、これまたノーベル経済学賞を受賞しているジョージ・アカロフ氏と共著でベストセラー、「アニマルスピリット」を著した親しい間柄だ。

行動経済学流にいえば、認識に甘めのバイアスがかかる。ここでの予想は割引いた方がいいかもしれない。


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