金利上昇でも債券投資

金利上昇局面でも債券投資で収益をあげられるヘッジファンドが米国で設定されて市場関係者の注目を集めている。その名も「金利上昇ファンド」。住宅ローン担保証券(MBS)の運用に特化した米ヘッジファンド、メタキャピタル・マネジメントが今年5月に設定。既に運用資金は1億7000万ドル(約170億円)となった。

メタキャピタルは昨年の住宅市場の回復を追い風にMBSに投資して収益を急激に拡大させ、一躍ヘッジファンド業界の花形に躍り出た。旗艦ファンドの手数料後収益率は昨年1年間で41%と業界最大となった。

しかし、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が今年5月下旬、量的緩和(QE)縮小に言及したのを機に債券相場が反落。MBSも打撃を受けてファンドの収益は悪化した。年初から6月末までの収益率はマイナス8.24%だった。ヘッジファンド業界で成績首位を維持することのむずかしさを示した。

しかし、ここで黙って市場環境の変化に身をゆだねることがないのもヘッジファンドの醍醐味だ。同社はQEの縮小に向けて、市場は金利上昇局面に入ると判断、「金利上昇ファンド」を新規設定した。バーナンキ議長のQE縮小発言を予想するかのように5月1日にこの新規ファンドを発表した。

「3年前から金利上昇局面になったらこのファンドを投入しようと準備してきた」とディーパック・ナルラ最高経営責任者(CEO)は説明するが、ファンド投入はまさに金利上昇局面に入った絶好のタイミングとなった。それが奏功して同ファンドの収益率は5月1日から10月半ばまでに14.5%(速報値)を確保した。

「金利上昇ファンド」の運用手法は単純にいうと、月々高い利払いのあるMBSと「ペイヤーズスワップション」というデリバティブ取引を組み合わせたものだ。低い固定金利を支払い変動金利を受ける権利を買うこのオプション取引を加えることによって、金利上昇局面でMBSの価格が下がっても大きなリターンが確保で、金利が変わらなければ債券と同程度の利回りを得られるという戦略だ。

「運用資産の一定比率を債券に投じるのは必要のある年金基金などの機関投資家が金利上昇時にリスクヘッジするのに最適」とナルラ氏。ハト派といわれるイエレン次期FRB議長が就任して「QE縮小に時期がずれ込んでも金利上昇基調には変わりない」と同ファンドの一段の収益機会を狙う。

社債 下期の起債は減少する見込み

2013年度下期(13年10月〜14年3月)の社債発行は上期(4〜9月)に比べ減少しそうだ。景気回復期待の高まりと長期金利の上昇観測で上期に大型起債や前倒しが相次いだ反動が出る。一方、高い利回りを求める投資マネーの流入は続く見通し。企業側にとって発行環境は良く相対的に低い格付けの社債発行が増えるとの見方もある。

10月以降の起債を見ると双日(2768)や東武鉄道(9001)などトリプルB格の起債が目立った。阪和興業(8087)は18日に3年債(100億円)の条件を決定。スワップ金利に対する上乗せ幅は0.06%と、12年6月に発行した前回の3年債(0.14%)から大きく縮小した。低い利率が設定される背景の1つには、長期金利の低下がある。18日の国債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは5か月ぶりの低水準となった。

もう1つが社債の需給逼迫。13年上期の国内普及社債(投資法人債含む)の発行額は4兆9000億円弱と、上期としては3年ぶりの高水準だった。金利上昇への警戒感から前倒しで発行する動きが出た。下期はこの反動に加え「銀行借り入れなど資金調達の手段を多様化しやすい環境」(大和証券の大橋ちゃん)にあるため発行は減るとみられる。

こうした状況を受け、投資家側が早めに社債の残高を積み増そうという動きも見られる。少しでも高い運用益wお確保するため、トリプルB格のような相対的に低い格付けの債券にも資金を振り向けているという。メリルリンチ日本証券の上だちゃんは「積極的に社債投資をしてこなかった生命保険など運用難に苦しむ大口投資家の買いも期待できる」と語る。


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