金、ひとまず下げ止まり

下落基調を続けていた金相場が下げ止まっている。米国の債務不履行(デフォルト)がひとまず回避されたのを受けて、これまで売っていた投資家から買戻しが入っている。それでも市場では、中長期的な弱気相場が終わるとの見方は少ない。

ニューヨーク先物市場で金相場は10月に入ってから徐々に値を切り下げていた。債務上限の引き上げ期限が迫る15日には一時、約3か月ぶりの安値となる1251ドルをつけた。

金は元来、ドルへの信認が揺らぐときに代われる傾向が強い。財政問題を巡る米議会の混乱は、金の買いを誘っても不思議ではなかったが、「最終的には与野党が合意し債務不履行は回避される」と読む投資家が多かった模様だ。

株式や債券と同時に金をリスク資産として捉えて保有していた投資家が(米財政問題を敬遠して)手放した面もあるという。

米議会の部上下両院で国債発行を暫定的に見t目る法案が16日に可決。これを受けて金相場は上昇に転じ、17日には1323ドルとなった。それでも市場では金相場に対する強気論は少ない。

金の現物で運用する上場投資信託(ETF)からは資金流出が止まらない。世界最大の金ETF「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」が保有する金の残高は17日時点で882トンと、9月末に比べて2.6%減った。金の先行きを強気に見ていたファンド勢などから、解約が続いている模様だ。

実需面で弱材料がある。宝飾品としての需要が強く主要な輸入国であるインドでは政府が今夏、金の輸入制限策を強化。こうした影響もあり需要の伸びは今年前半よりも鈍るとの指摘が出ている。

日銀の「捨て身」円売り誘うか

日銀がデフレ脱却のためのインフレ期待強化を狙って、量的・質的緩和解除の必要条件を厳格化し始めた。為替相場にも影響が及ぶ可能性のある話だ。

異次元緩和をいつまで続けるかについて、日銀は従来、目標とする2%の消費者物価上昇率の「安定的な持続」に必要と判断される時点までとしてきた。抽象的な印象もあったのだが、日銀は最近、より具体的な説明をするようになってきた。需給ギャップがマイナスでもプラスでもないゼロのときの物価2%実現を、出口の必要条件とするというのだ。

今のように需給ギャップがマイナスのときに、輸入物価上昇などで2%が実現しても緩和幕引きの理由にならないというのは分かる。だがプラスの時も除外するという。なぜか。プラスのときは経済が強い局面。そういう時に2%を実現しても、景気が悪くなればまた下がってしまう。要するに持続性がないので問題なのだ。そこでギャップがゼロのとき(経済が平均的な状態にあるとき)の目標達成を重視するという。

物価2%だけであれば、1990年以降実現できた局面が2回あった。最近では2008年、その前は90年代初めだ。だが前者は需給ギャップがマイナスのときだから論外。公社も、ギャップがプラスの状態での2%だからダメだ。「需給ギャップゼロでの2%」の達成はかなり難しいことが分かる。つまり日銀は解除のハードろうをあえて上げたことになる。

その結果、緩和の長期化を人々が意識し、インフレ期待が強まれば、物価に強い上昇圧力が加わると日銀は見る。いわゆるフィリップス曲線の上方シフトだ。

黒田総裁は10月上旬の記者会見で「(物価安定目標を達成するまでの期間は)2年よりも長いかもしれないし、あるいは2年より短いかもしれませんが、いずれにせよ、2年程度で達成することを目標に、着々と政策を実行している」と語った。

緩和期間が2年より長くなる可能性も視野に入れているわけだ。

政策の自由度をあえて下げることで物価上昇期待を強めようというのは、いわば「捨て身戦法」。一方米国では量的緩和のペースダウンが遅かれ早かれ始まる。日米の非対称性が円売り材料として意識される局面が来るかもしれない。


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