ユーロ復調にブレーキ

上昇基調が鮮明だった通貨ユーロの勢いが鈍っている。欧州景気の底入れを手掛かりにユーロの買い持ち高を膨らませてきた投機筋。その巻き戻しが起きればユーロは一段安の憂き目に遭うかもしれない。

ユーロが上昇基調に入ったのは5月中旬以降。米国の量的緩和の縮小観測が市場で高まった結果、それまで新興国通貨に向かっていた投機マネーが新たな投資先を求め、景気底入れの兆しが見えるユーロに向かった。

通過の総合的な実力を示す実効為替レートを見てみよう(ないけど)。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が緩和縮小に言及した5月22日以降、ユーロは約4%上昇した。その風向きが変わったのは8月下旬だ。

米国のシリア空爆の可能性が取りざたされ、「有事のドル買い」の流れの中でユーロは対ドルで下落。「ギリシャなど中東に近接する国を抱えるユーロ圏のリスクが懸念され、ドル以外の通貨に対しても売られた」(みずほ証券の鈴木ちゃん)。市場は米緩和の縮小をほぼ織り込み、新興国通貨売り・ユーロ買いの動きも一服している。

ユーロ相場の先行きを占うカギは、投機筋の買い落ち高の多さ。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場の日商品部門の売買動向を見ると、対ドルでのユーロの買い持ち高は2011年5月以来、約2年3か月ぶりの高い水準にある。

足元で縮小傾向にあるものの、持ち高調整が起きた場合の影響は大きい。みずほ銀行の唐鎌ちゃんは「米FRBが緩和縮小を決めれば、これまでのユーロ買いの巻き戻しが本格化するのでは」と読む。

ユーロ圏景気は底入れが見えたとはいえ、不透明感もくすぶる。けん引役のドイツは新興国向け輸出が足元で伸び悩む。フランス、イタリアはそれぞれ付加価値税(消費税に相当)の引き上げを予定し、消費者心理への悪影響が懸念される。

南欧の重債務問題を抱えリスクに敏感だった通貨ユーロ。復権の兆しは今後どこまで本格的なものになるのか。成長率の加速や失業率の低下などが確認できるまでは不安定な相場が続きそうだ。

中国の指標改善 豪ドル買い誘う

日経通貨インデックスを構成する25通過中、先週、最も上昇したのはオーストラリアドルだった。4〜6月期の実質国内総生産(GDP)が市場予想を上回る増加幅だったことが好感された。中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が堅調だったことで、中国向け資源輸出の回復期待が高まり、豪ドル買いを誘った。

一方、最も下落したのはインドネシアルピア。7月の貿易収支の赤字幅が過去最大にまで拡大したことが響いた。米量的金融緩和の縮小観測を背景に投資マネーの国外流出の思惑が根強く、ルピア売りに拍車がかかった。

外貨運用ファンド 米債券・株式型が上位

外貨建て資産で運用する投資信託のここ半年間の基準価格騰落率をランキングしたところ、米国の低価格付社債や株式に投資するファンドの成績が比較的堅調だった。一方、最近の通貨下落を受けて、ブラジルをはじめ新興国の関連資産で運用する投信の成績は全般に振るわなかった。

海外の株式や債券などで運用するファンドを対象に、8月末時点で残高が大きい30本を調べた。通貨選択型の場合、組み入れ試算が日本株などであっても、運用する通貨が外貨であれば対象に含めた。ここ1ヵ月で見ると、すべてファンドの基準価格が下落している。米量的緩和の縮小観測を背景に世界のリスク資産から資金を引き揚げる動きが加速。新興国通貨や米不動産投資信託(REIT)などを組み込んだ投信の成績に響いた。


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