取引所FXの税優遇復活か

金融庁が8月下旬に発表した2014年度の税制改正要望が、外国為替証拠金取引(FX)業界で思わぬ波紋を広げている。要望のなかに相対取引を手掛ける店頭会社と取引所との税制格差が復活するとも読める文言があったためだ。

金融庁の公表資料には、金融所得課税を一体化委するための要望事項として「損益通算の範囲をデリバティブ(金融派生商品)取引や預貯金に拡大すること」とある。注目が集まったのはこの後に続く「特に総合取引所に関わるデリバティブ取引については、早期に実現すること」という一文だ。

政府は今年1月に東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合して誕生した日本取引所グループを、将来は金や原油など商品取引も扱う「総合取引所」に転換する構想を持つ。今回の税制改正要望はこうした政府に合わせたもので、当該部分に「FX」という文字は全く登場しない。ところが店頭FX会社が反応したのは、デリバティブにFXが含まれているからだ。深読みすれば、取引所FXは株式などと損益通算できるようになり、店頭FXと税制上の差が生じることになるとも取れる。

「また逆戻りするのか」。ある大手FX会社幹部は警戒感を示す。東京金融取引所運営する「くりっく365」など取引所での取引で得た個人資産家の利益は、11年まで申告分離課税の対象。税率は一律20%だった。

一方、店頭FX会社での取引は総合課税で最大50%の税金がかかり、所得が多い人ほど取引所取引を選ぶ傾向にあった。

当時、税制格差の廃止は店頭FX会社の「悲願」(老舗FX会社)と言われていた。長年廃止の要望を出し続けた結果、12年1月にようやく取引所取引と店頭取引は同じ税制になった。

損益通算の拡大は今回の税制改正要望で初めて盛り込まれ、すぐに導入される可能性は小さいとみられる。それでも業界が反応するのは、税制変更の効果をまざまざと見せつけられたから。取引所FXは税制優遇がなくなったことで、取引量が激減している。「くりっく 365」は12年の取引数量が約6045万枚と前年に比べ56%減となった。05年の取り扱い開始以来、初めての前年割れだった。

「くりっく 365」のシェアはピーク時にはFX取引全体の1割を超える水準まで拡大したが、足元は1%程度とみられる。税制優遇が復活すれば取引所に取引が流れ、店頭FX会社との競合が再び激しくなることは必至。手数料の引き下げなど消耗戦が続いてきたFX業界の新たな火種として、しばらくくすぶり続けたそうな。

預金にマイナンバー目的の目的化を

みずほ総合研究所はマイナンバーを個人預金に付ける場合の論点を整理した。まずは目的の明確化が必要といい、金融一体課税に預金利子を含めるためならば、投資商品を持たず、損益通算が不要な多くの個人は付番の必要性を理解しにくいとみる。資産や収入の正確な把握が目的ならば、金融機関が全預金者から番号の告知を受ける実務的な手続きが課題になりそう。秋口からの議論では「1つ1つの論点に丁寧な検討が必要だ」。

日米金利、再びカップリング

長期金利が上昇している。指標となる新発10年債の利回りは6日に0.79%まで上昇。日本株の好調さや米長期金利の上昇を受け、国債に売りが出やすい構図が鮮明になってきた。

8月は新興国景気の先行き不透明感などを受けて株価が低迷、それに呼応する形で債券が買われ、放棄金利は下旬にかけて大きく低下。日銀が国債買い入れオペ(公開市場操作)を少なめにして相場の過熱を防ぐほどだった。

だが、9月に入ると長期金利は上昇。最大の要因は米長期金利の上昇だ。米サプライマネジメント協会(ISM)による8月の景況感指数が製造業・非製造業ともに市場予想を上回るなどし、米景気の回復基調は強いとの見立てが広がった。

17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、金融緩和祝帳が打ち出されるとの見方も強まり、米長期金利を一時3%まで押し上げた。「米国債は短〜中期ゾーンの利回り上昇が目立ち、利上げもそう遠くないとの観測を裏付ける」(みずほ証券の早乙女ちゃん)との声もある。

こうした要因が重なり、日銀の強力な国債買い入れの影響で一時は弱まっていた日米長期金利の連動性(カップリング)が復活してきている。今年度の長期金利のレンジを0.7%〜1%とみる債券ディーラーが多く、「0.7%を下回る水準では、買い進みにくい」(東海東京証券の佐野ちゃん)といい、そもそも金利の低下余地が限られていた面もある。10日以降、財務省の国債入札が相次ぐことも需給面の重荷となっている。


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