マネーに変化、金急落

安全資産として買われ続けてきた金の国際相場が急落した。ニューヨーク市場の先物相場はわずか2日で13%下がり、約2年前の水準まで落ち込んだ。きっかけは世界景気の変調。投資マネーはより有利な運用先を求め、米国債や米国株に流れ込み始めた。

金はドルや円とは違う現物資産だが、国際通貨に近い性格を持つ。ドルの信認が揺らぐほど買いが集中する傾向がある。2010年からの欧州危機や世界的な景気減速で休息に人気が高まり、先物は11年夏に一時1トロオンイス1900ドルを超えた。

流れが変わったのは12日。米大手金融機関が大量の売りを出したという情報が市場に流れたのがきっかけだ。週明けの15日も大幅な下落が続き、下げ幅は2日間で200ドルを超えた。16日は荒い値動きとなったが、なお1400ドルを下回る展開。金への投資が急拡大する以前の水準に近い。

金相場の急落は、世界景気の変調とそれに伴うマネーの流れを映す。15日発表された中国の1〜3月期のGDP成長率。個人消費の鈍さが響き、事前予想の8%台を割り込んだ。中国景気の伸び悩みが投資家の大量の金売却を誘った。

リーマン・ショックの後遺症と欧州危機に揺れた10〜12年は、高成長を続ける新興国が世界経済をけん引した。ところが消費低迷でインド経済は振るわず、ブラジルの景気も低空飛行が続く。ここにきて、新興国と入れ替わる形で、米国経済の底堅さが際立ってきた。

金融危機後の調整局面を抜けたうえ、新型ガス「シェールガス」による製造業の復権もあって、米景気の回復期待は大きい。3月にはダウ工業株30種平均が約5年半ぶりに最高値を更新した。景気回復をふまえ、米連邦公開市場委員会(FOMC9内部では量的緩和策からの転換を目指す動きもある。

実物資産の金は信頼性は高いが、利息は生まない。基軸通貨であるドルが買われる局面では金の需要は相対的に弱くなる。投資家がある程度までリスクをとれる状況では、株式や債券への投資がより有利だからだ。

現在は「安全な投資先として米国債が選ばれている」(マーケット・リスク・アドバイザーの新村ちゃん)。代表的な10年祭の利回りは16日時点で1.68%前後。今年1月の1.9%台から低下(価格は上昇)傾向にある。

株式市場でも「資金が日米などの主要国に移る動きが出ている」(BNPパリバ証券)。マネーが過剰に金に流れた局面は終わり、市場が正常化する兆しが出始めている。

金からドルへの資金シフトに加え、現物としての金の需要が落ち込んでいる面もある。新興国のインドは世界最大の、中国は第2位の金の需要国だ。個人が宝飾品や地金などの形で金を購入するほか、政府や中央銀行が外貨準備の一環として金を取得しているとみられる。その新興国での需要拡大のペースが鈍っている。

人口規模が大きい新興国な旺盛な需要で、モノが不足するという懸念が薄れ、原油や非鉄も下落傾向をたどる。

原油は、国債指標の北海ブレントが16日に一時1バレル100ドルを割り込んだ。年初からの下落率は1割を超え、9か月ぶりの安値水準だ。電線などに使う銅も下落傾向。世界最大の銅消費国である中国の原則が意識され、ロンドン市場の先物価格は11年10月以来、1年6か月ぶりの安値水準で推移している。


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