「消費税還元セール禁止」で対立

2014年4月の消費増税時の「消費税還元セール」を禁止する特別措置法案を巡り、政府と小売企業の対立が鮮明になってきた。小売り各社は販売促進策や価格などの競争を縛りかねないと反発、増税後の価格据え置きを表明する例も相次ぐ。一方、政府は中小・零細企業の保護には厳しい監視が不可欠との姿勢を崩していない。

特別措置法が衆院本会議で審議入りした12日も「法律で(特定のセールを)縛るのはいかがなものか」(マルエツの上田ちゃん)との声が小売企業から上がった。岡田元也イオン社長、柳井正ファーストリテイリング会長兼社長らに続き、懸念が絶えない。

批判に反し甘利ちゃんは同日「できるだけ安く商品を提供するのは自由にやってもらえればいい。あくまでも消費税は(消費者に)返さないでちゃんと(国に)納めてくれということだ」と反論した。同法は大手小売りへの交渉力が弱いメーカーや卸への消費増税の負担のしわ寄せを避けるのが狙い。こうした主張にイオンの岡田ちゃんは「不当なことをする小売業者がいるならば、現行法で取り締まればいい」と話す。

独占禁止法でもこうした「優位的地位の乱用」を取り締まることはできるが、違反行為の認定は難しい。特措法は増税に限る形で「優位的地位の乱用」をあぶり出す。霞が関からは「前回の増税後の還元セールで買い叩かれた中小企業が多かったから今回の措置になった」と冷ややかな声も漏れてくる。

小売や下請け取引に詳しい鈴木弁護士は「本来は小売業者が仕入れの際にしっかり増税分を上乗せして支払っているかを公取委がチェックすればいい話だ」と指摘。一方で、「『還元セールはメーカーや卸業者への値下げの圧力になる』という政府の懸念は分かる」とも話す。

小売関係者には前回の増税時に消費者心理のあやをつかんだ「消費税還元セール」という選択肢を残したいというのも本音。「消費税還元を謳わずとも堂々とセールをやればいい」という立場の霞が関と折り合いにくいのが現状だ。

日本チェーンストア協会の井上ちゃんはどんなセールの文言なら問題ないのかを示すガイドラインの早期策定に期待する。夏までにまとめるガイドラインで、対立の落としどころを探ることになりそうだ。

平野・三菱UFJ社長

三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長(61)は日本経済新聞のインタビューで、アジア現地銀行への出資や買収について「機会があれば取り込んでいく。チャンスを逃さずものにする」と意欲を示した。ドイツ銀行から不動産融資事業の買収を決めた米国では、収益力でトップ10を狙うと明言した。主なやり取りは次の通り。

―持ち株会社社長として力を入れる点は。

「グループ力をさらに発揮して、グローバル事業とリスク管理などガバナンスを強化する。米国は子会社のユニオンバンク(UB)が事業拡大の基礎だ。UBと三菱東京UFJ銀行支店の一体化を進める。不動産融資など収益性の高い分野をもっと強化したい。法人格を持つ持ち株会社をつくる。企業金融からリテールまで一本化して、米国トップ10に向けて歩みを進める」

「東南アジア、インド、豪州などをみる本部をシンガポールに立ち上げる。日本企業は内需型にシフトしている。我々もアジアの内需に入りたい。ベトナム大手銀への出資を決めた。ベトナム以外の国でも、そういう機会を取り込んでいく」

―日銀が打ち出した金融緩和の影響は。

「一種のJカーブ効果と言っている。いったんは金利が低下するので、利ザヤが小さくなるが、成長戦略が機能すれば日本経済が活性化する。資金需要が増えて金利も上がり、収益的にはプラスだ。貸出は底打ちしてきているが、M&Aや電力、電機など大口向けが多く、力強い資金需要があるわけではない。エネルギーや環太平洋経済連携協定(TPP)、規制緩和などの問題に正面から取り組む必要がある」

「日本国債は足元の変動率が上がっている。備えはきちんとやる。同時に、主要な市場参加者なので責任ある行動をとる」

「物価と賃金は連動」

物価が上がれば、賃金も上がるのか―。日銀の黒田ちゃんは12日、都内で講演し「物価と賃金の変動は連動している。経済全体が拡大するなかで、賃金も雇用も回復する」と発言した。日銀は2%の物価目標を2年をメドに達成する方針を掲げたが、物価が上がっても賃金は上がらないのではないか、との懸念に答えた。また、日銀の新たな金融緩和策は「為替をターゲットとしておらず、あくまで国内物価の安定が目的」と強調。18〜19日のG20財務相・中央銀行総裁会議を控え、「日銀のデフレ脱却は世界経済全体にも好影響を与える」と述べ、海外から理解を求める姿勢を示した。

郵政上場 不透明に

日本郵政株の上場計画の実現に不透明感が出ている。TPP交渉参加を巡って政府は12日、かんぽ生命保険のがん保険、ゆうちょ銀行の住宅ローンなど新規事業を凍結する方針を発表した。成長戦略が描けなくなり、2015年秋としていた上場時期がずれ込む可能性も出てきた。東日本大震災の復興財源の手当てにも影響が出そうだ。

口が歪んでいる麻生ちゃんは同日の会見で「(民間との)適正な競争関係が確立されているか判断ができるまでは認可をする考えはない」と述べ、郵政グループが新生している新規事業の認可を事実上凍結する意向を示した。

政府は持ち株会社の日本郵政を15年秋に株式上場させる予定だ。民間投資家に株を買ってもらうためには成長戦略を示す必要があるが、郵政グループの各事業は縮小傾向が続いている。たとえば、かんぽ生命の保有契約件数は過去10年間でほぼ半分に減った。郵政は新規事業参入で投資家に成長の筋身chいを示す狙いがあった。

昨年9月、郵政グループが監督官庁である総務省金融庁に申請した新規事業は、ゆうちょ銀の住宅ローンと企業向け融資、かんぽ生命の新学資保険販売だった。

新規事業が妥当か判断する政府の郵政民営化委員会は参入を大筋認めたが、内部管理体制が整っていないなどの理由で金融庁は慎重なまま。最終的な認可は出ていない。政府はTPP事前協議で米国が優勢の業務拡大に懸念を示したことから、これに配慮して認可を棚上げする方針だ。

一方で政府は郵政株の売却収入を4兆円と見込んでいる。財政が厳しいなかで国有財産の売却が進んでおり、郵政株は残された大型資産として注目されていた。仮に上場できなかった場合、政府は代わりの復興財源を捻出する必要が出てくる。


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