投資マネー 先進国回帰

世界の投資マネーが新興国から先進国へ回帰する動きが出てきた。景気が減速する中国などから、金融緩和で景気浮揚を図る日本や米国へ資金が向かっている。日米の株価は今年に入り、他の主要国を大きく上回る上昇率だ。日銀が4日に発表した大胆な緩和策で、海外からの資金流入によるマネーの好循環に弾みがつけば、日米の景気回復に追い風となる。

日経平均株価は緩和策を好感し、先週末5日に4年7か月ぶりの高値をつけた。年初からの上昇率は23%だ。米国の株価も同期間で11%上昇し一時は過去最高値を更新するなど、先進国の株価上昇が目立つ。半面、中国やブラジルなど新興国の株価は下落基調で、今年の安値圏にある。

株価格差の背景には、投資マネーの流れの変化がある。世界の投資信託の資金の流れを追う調査会社EPFRグローバルによると、特に2月下旬以降は、先進国の株式に投資するファンドへの資金流入が増える一方、新興国株ファンドからは資金が流出している。

年初からの累計では、先進国潟tァンドがすでに760億ドル(約7兆4000億円)の流入超となり、新興国株への流入額の3倍近くに達している。先進国鰍ヘ昨年、差し引きで190億ドルが流出し、500億ドルの資金流入となった新興国鰍ニは対照的だった。

日本株ファンドだけでみると、年初からの流入額は100億ドルを超えている。資金を中国から日本へ移す投資家も増えているようだ。東京証券取引所の調べでは、2012年度の海外投資家による日本株の買越額も5兆円を超え3年ぶりの高水準だった。

海外では大胆な緩和策を受け、日本株の先行きを強気にみる声がある。「緩和の効果で銀行や小売など解呪株が有望で、日本の株式相場にはまだ上昇余地がある」(英ヘンダーソン・グローバル・インベスターズの日本株担当)という。

これまでは日米の金融緩和が生んだマネーは、高い成長が見込める新興国へと流れ出た。新興国では投資や消費が拡大したが、インフレ率が高まり最近では景気が不安定だ。

中国は不動産市場の引き締めを強化する方針で、ブラジルもインフレ率の上昇を受けて利上げが警戒されている。こうした中、投資マネーは先進国に回帰しつつある。最近では緩和効果が徐々に浸透してきた米国で住宅市場が回復傾向を示し、個人消費にも波及しつつある。日本でも積極緩和策が、デフレからの脱却をうながshい内需を刺激するとの期待がある。円安で輸出産業の業績改善も見込まれ、株式や不動産投資信託(REIT)へ資金が一段と回り始めた。

ソシエテジェネラル証券東京支店長の島本ちゃんは「米国は緩和の公開が実体経済に表れてきており、日本も今後、効果が出るとの期待が高まっている。金融緩和が手動する日米の株高はしばらく続く可能性がある」と話している。

ただ、投資マネーは期待先行で動いている面も大きい。企業による設備投資の回復などが伴わないと、本格的な景気回復にはつながらない。

「日銀頼み」強まる市場

日銀が市場に供給するお金の量(マネタリーベース)を2年間で倍増させる「量的・質的金融緩和」に踏み切り、国際、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)の3市場の「日銀依存」がさらに強まる見通しとなった。巨大な「買い手」の存在が投資家に安心感を与えて相場を下支えする一方、市場のメカニズムを歪めて相場を急変させるリスクも潜む。

黒田ちゃんが就任後初の決定会合で決めた「異次元」の緩和策は長期国債の大量購入や、ETF、REITというリスク性資産の買い入れ拡大に踏み込むのが特徴だ。長期国債は月3.8兆円から7.5兆円に倍増し、ETFは年6000億円を約1.7倍の1兆円に増やす。REITは年200億円から300億円へ1.5倍に拡大する。

市場における日銀の存在感が最も増すのは長期国債だ。国は2013年度に月10兆円弱のペースで新たに国際を発行する。これを直接引き受けるわけではないが、日銀は発行額の7割強に相当する国債を市場で購入する。

ETFは12年の年間売買代金が約4.4兆円。13年も同じ水準で推移すると仮定すれば、新緩和策の導入で日銀の購入比率は14%から23%へ上昇する。REITも同様に0.6%から0.9%へ上がる。

国債に比べると、ETFとREIT市場での日銀の存在感は大きくないように見える。しかし、日銀はETFでは日経平均株価や東京株価指数(TOPIX)に連動するタイプ、REITではダブルA格相当以上の高格付けの銘柄のみを購入対象としており、これらの商品は特に大きな影響を受ける。一部の商品の価格上昇がけん引役となり、相場全体を底上げする可能性がある。

実際、REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は5日、一時9%高と急伸し、取引時間中として5年3か月ぶりの高値を付けた。3月下旬にいったん急落したが、市場では「日銀の購入枠拡大で下落リスクが軽減された」(SMBC日興証券の鳥井ちゃん)との声が出ていた。


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