積立金4.6兆円取り崩し

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2013年度の予算や資金計画を発表した。団塊世代の受け取りなどで増えた給付を賄うため、積立金を4.6兆円取り崩す。12年度に比べて取り崩し額は減るが、保険料や税金で足りない分を穴埋めする異例の事態が続いている。

取り崩しは09年度以来6年連続。公的年金は毎年入ってくる保険料と税金で給付を賄う。以前は保険料・税収と運用益で積立金が増えていた。

しかし、この5年は低成長や年金受給者の高齢化、団塊世代の大量退職などで毎年の収入だけでは給付が賄えず、GPIFが積立金を取り崩し資産を市場で売却して支払に充てている。

09年度の取り崩し額は約4兆円、10年度は6兆円。12年度は当初、政府が年金交付国債をGPIFに引き受けさせて一時的に8兆8千億円まで膨らむ想定が、当時野党の自民党などの反発で撤回された。それでも取り崩し額は6兆4千億円に達した。

成長分野、金融で後押し「円滑化法後も変わらず」

1日に就任した全国銀行協会の国部ちゃん(三井住友銀行頭取)は日本経済新聞のインタビューで、「銀行の役割は日本経済が力強い一歩を踏み出せるよう金融面から支えていくことだ」と述べた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」に呼応し、成長分野への資金提供を強化する考えを示した発言だ。

国部ちゃんは「昨年末の政権発足以降、矢継ぎ早に政策が出され、円高是正、株高、景気回復に向けた動きが出つつある」と評価した。銀行界としても、社会インフラ整備や東日本大震災からの復興など需要が高まる分野へ民間資金を呼び込んでいくと説明。エネルギーや医療・介護、農業といった成長分野の資金需要を掘り起こす方針を表明した。

中小企業の債務返済を猶予してきた金融円滑化法が3月末で期限切れになった点については「期限切れ後も金融機関の対応は一切変わらない」と強調した。

貸出条件の緩和要請には4月以降も真摯に対応するとして、企業倒産が増えるとの見方を否定した。

日銀の新体制に関しては、「思い切った金融緩和政策をとる強い決意を表明しており、大いに期待している」と述べた。「10年以上デフレから脱却できなかったことを考えれば、従来より一歩踏み込んだ政策が必要だ」と指摘し、金融政策の転換を支持した。

景気の振幅 どう抑える

消費税率が5%から8%に上がる予定の1014年4月まであと1年。財政再建に向けた大きな一歩だが、積み残された課題も多い。所得が少ない人への配慮や景気の振幅を抑える手立ては定まらず、増税と一体だったはずの医療、年金、介護などの社会保障改革も停滞している。景気への影響は読めず、増税への視界は曇ったままだ。

住宅大手の旭化成ホームズはここ数か月、受注した住宅のうち「建て替え」が半数を超えた。都市部での受注が多く従来も5割弱は建て替えだったが、比率がじわじわと上がっている。消費増税を見据えた動きというのが同社の見立てだ。

政府は消費増税にあわせた負担軽減という名目で、増税後は住宅ローン減税の対象残高を上限4千万円へと13年の入居者に比べて倍増する方針だ。しかし、すでに土地を持っている人が建て替えだけで4千万円も借りることは少ない。

借入額が2千万円までならば、消費増税の前と後では所得税から差し引くローン減税の金額は変わらない。14年4月からは購入時の消費税が3%も増えるので、増税前の今のうちにマイホームを建て替えようという駆け込み需要が起きつつある。

政府はローン減税を補う形での現金給付を検討しているが、誰がいくらもらえるのかの具体策はできていない。「顧客に増税後の負担をはっきりと説明できない状態」(同社)だ。

自動車の買い時もよくわからない。与党は13年度税制改正大綱で、消費税率が8%に上がる段階で購入時にかかる自動車取得税を減らし、車検時に払う自動車重量税は燃費の性能などに応じて軽くする方針を示した。具体策は年末の14年税改正で決める。

足元の国内販売で首位のトヨタ自動車のハイブリッド車「アクア」はエコカー減税で取得税と初回の重量税が免税だ。消費増税分を取得税や重量税の減税で打ち消すことはできない。人気車種ほど増税といういびつな仕組みになれば増税前に駆け込み購入が起きる。

民主党政権から続く消費増税の議論では、増税の痛みをできるだけ和らげる対策が大きな焦点になった。自民・公明両党は消費税率が10%に上がる15年10月に食料品などの税率を低く抑える「軽減税率」の導入を目指すが、8%段階での現金給付については議論すら進む気配がない。

消費増税法には「経済状況などを総合的に勘案したうで、施行の停止を含め所要の措置を講ずる」との規定がある。政府が最終判断するのは今秋。ニッセイ基礎研究所は判断の材料となる4〜6月期の国内総生産(GDP)は前期比の年率換算で3.7%増という高成長になると予想する。

「何が何でも消費税を上げようという姿勢ではない」。安倍ちゃんは3月27日の参院財政金融委員会でこう答弁した。円安・株高で政権は順調に滑り出したものの、景気に気を配りながら増税への足場を固めることが大きな課題だ。

仮に消費増税をやめたら、日本の財政再建への不安から長期金利は上がる可能性が高い。住宅メーカー幹部は心配する。「もし増税をやめるという話になって住宅ローンの金利が上がれば、その時こそ住宅の駆け込み購入と反動減が起こる」


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