賃金、今年は「上がる」12%

アベノミクスによる円安・株高が資産効果を生み、百貨店で宝飾店など高額品の売れ行きが好調だ。この勢いが賃金上昇を通じ幅広く消費拡大へとつながっていくか。給与で生活している会社員に、自分の賃金の見通しを聞いてみた。

今年春以降の自分の賃金(給与とボーナスの合計)が「上がる・上がりそう」と答えた人は12%にとどまった。これに対し69%が「変わらない・変わらなさそう」と予想。「下がる・下がりそう」と悲観的にみる人も19%いる。9割近くが、賃金は上がらないと考えているわけだ。

来春以降についても、変わらなさそう、または下がりそうとみる人が9割。理由として約半数が「勤務先の業績がよくならなそう」を挙げる。流通業などで賃上げ報道が続いたものの、全体的には楽観ムードとはほど遠い。今年賃金が「上がる」と考える人も、増えた分の使い道では「預金」がトップだ。

ただし性別、年齢別に詳しくみると、やや違った面が浮かび上がる。20代男性に限ると今年、賃金が上がると予想する人が24%おり、下がるの2倍に達している。30代男性も傾向は同じ。結婚や育児、住宅購入など、消費の担い手として期待される若い世代が収入に明るい見通しを持つことは、経済活動全体を押し上げるかもしれない。

いま東京などは花見の季節。リクルートライフスタイルの調査では、花見の参加回数を昨年より「増やす」人が「減らす」の5倍いる。20代男性に限れば11倍だ。1回あたりの予算も、3000円までに抑える人が昨年より減り、3000円を超す出費を予定する人が増えた。

安さを打ち出した飲食チェーンの勢いが鈍るなど、消費の潮目が変わろうとしている。それを後押しするような賃金政策を経営者が打ち出すかどうかが、景気の先行きを左右する。

中小向け融資 どう配慮

法制審議会が進める民法の契約ルール見直し作業で、中小企業が融資を受ける際の個人保証の扱いが注目されている。借金を肩代わりして自己破産する人が後を絶たないため、保証人の範囲を経営者に限る方針だ。一方で、保証人を制限すれば融資が受けにくくなるとの懸念もあり、資金繰りへの配慮が課題となっている。

「店舗まで何度も足を運んで経営状況や事業計画を丁寧に説明し、ようやく個人保証を外してもらった」。名古屋市で水処理施設の維持管理を手掛けるエステ無の鋤柄ちゃんは語る。融資を受けた銀行に通い、過去数年分の決算書を見せて黒字経営を続けていることを訴えたという。

しかし、こうした事例は稀だ。中小零細企業にとって「融資を受けるには経営者の個人保証が不可欠」というのが常識という。担保となる資産が乏しく、経営者の家族や親族、知人が保証していることも多い。

保証人が破産に追い込まれる事例が目立つようになったのは、10年余り前だ。銀行の貸し渋りを背景に高金利で融資する貸金業者が事業を拡げた結果、中小企業の返済を肩代わりした保証人が自己破産するケースが続出。社会問題化した。

日本弁護士連合会が2011年に実施した調査によると、破産の原因は「保証による債務」と「借金の肩代わり」を合わせて25%を超えている。

法審査も保証人の保護を強化するためにルール改正に動いている。民法(債権関係)部会が2月26日に決定した中間試案では、金融機関が中小企業に融資する際に求める個人保証は経営者に限ることを提示。引き続き検討していくとした。

保証による被害を減らすにはどうすべきか。東京中小企業家同友会の三宅ちゃんは「経営者以外の個人に頼らない融資慣行を確立すべきだ」と訴える。金融庁も、銀行などに経営者以外の個人保証を原則として禁じる指導をしている。

一方、全国銀行協会は保証人保護の必要性は認めつつも、「銀行は中小企業の資金力を把握しきれない。保証がなければ、貸し倒れリスクを避けるために高い金利で融資するしかなくなる」と主張する。「(保証は)経営規律や税務情報の信頼性に問題があるためだ」という見方も根強い。今回の中間試案は幅広い意見の折衷案ともいえる。

実際、中小企業が資金を借りるハードルは高い。金融機関は通常、不動産などの担保を求めるが、目bしい不動産がない場合が多く、個人保証に頼らざるを得ない。

この保証契約は、中小企業の信用力が不十分な場合、信用補完の一環として金融機関が経営者などと結ぶ。中小企業が返済できなければ、保証人が肩代わりする。

個人保証のうち、社長など自ら経営する会社の保証人となる経営者保証について、「本来は依存すべきではない」と三宅ちゃんはいう。事業承継の障害となったり、企業の意欲を妨げたりするからだしかし「全面禁止すると現状では貸付を受けにくくなり、中小零細企業の円滑な資金調達に支障が出る恐れがある」という。

三宅ちゃんは、改善策として@保証人となる経営者は資力の範囲でしか責任を負わないA裁判所の判断で保証債務の減免を認める制度を導入するB事前に定めた約束に違反しない限り、保証人が債務を負触れない―といってルールを検討すべきだと話す。

個人保証を巡っては、中小企業庁と金融庁が研究会で議論しており、近く報告書をまとめる予定だ。中小企業は全国に約420万社(全従業員数の7割)が働く。中小企業の資金繰りを円滑にして発展を促す施策は経済成長に欠かせない。

民法の改正だけでは、保証人保護などは強化できても中小零細企業の資金繰りまで十分に手当てできない。融資については、金融機関も中小企業の育成を支えることで金利を得るという基本姿勢が大切だろう。過度な保証や担保に頼らない融資はどうあるべきか、関係者の知恵が求められている。


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