ネットで小口資金調達

ベンチャー企業がインターネットを使って資金を調達できるようにするため、金融庁は新制度を検討する。証券会社などが未公開株を仲介し、ネット経由で小口の資金を幅広く募集できる仕組みを導入。投資家の保護や悪質な業者の排除を狙い、サイトを運営する事業者を絞り込む。ベンチャー企業の上場後を見据え情報開示義務も緩める考えで、成長分野への資金供給を促す。

ベンチャー育成は阿部政権の経済政策「アベノミクス」を構成する3本柱の成長戦略の核になる。金融庁は金融商品取引法の改正をにらんだ検討作業に着手し、金融審議会(首相の諮問機関)など政府内でも調整に入る。2013年度以降の実現を目指す。

金融庁が検討しているのは「クラウドファンディング」と呼ばれる新型の資金調達だ。現行制度は上場株よりも情報開示が劣る未公開株について、募集や販売を厳しく制限している。証券会社は原則、日本証券業協会が運営する未公開株取引制度(グリーンシート)の銘柄しか販売できない。証券会社以外の金融商品取引業者は原則、株を販売できない。

金融庁はベンチャーに資金が流れる新たな経路が必要と判断。ネットを介して少額を集めるクラウドファンディングの形式を取れば、証券会社や証券以外の会社でも 、未公開株を仲介できるように制度を改正する。

クラウドファンディングは米国を中心にベンチャー企業の資金調達手段として急拡大。11年の書状規模は世界で約1200億円と、日本のベンチャーキャピタルの投資額全体(1240億円)に迫る。日本でも東日本大震災をきっかけに、主に個人の寄付を募る形で浸透してきた。金融庁は投資型のクラウドファンディングに成長する余地が大きいと判断した。

参入業者には自主規制機関などで厳しい審査要件を設ける方針。詐欺など悪質な行為を封じるのが目的。トラブル波及に歯止めをかけるため、投資家ごとに年間投資額の上限を設ける案もある。

新興企業が株式市場に上場する要件を一部緩めることも検討対象になる。現在は原則5年分を求めている財務諸表を2年分程度に減らすほか、財務の適正さを保つために企業に求める内部統制報告書の内容を簡略化する案が浮上している。

日本のIPO(新規株式公開)市場は低迷し、昨年のIPO数は50社弱と07年の半分以下の水準にとどまる。金融庁は成長を促す資金のパイプを太くすることも金融行政の軸とする考えだ。

REIT時価総額 最高

投資家から集めた資金で不動産に投資する不動産投資信託(REIT)の市場が急拡大している。東京証券取引所に上場するREITの時価総額は22日、合計6兆9136億円と7兆円に迫り、2007年5月(6兆8024億円)を抜いて過去最高を更新した。安倍政権の脱デフレ政策で地価が底入れするとの期待から、投資マネーの流入が加速している。

時価総額は上場REITの市場規模を測る代表的な指標。投資口数に投資口価格を掛けて出す。各REITの時価総額の合計が市場全体の時価総額になる。

これまで最高だった07年前半は都市再開発ブームを背景に不動産価格が上昇。REIT市場にも投資マネーが流入した。その後は米金融危機の影響でマネーが流出し、市場全体の時価総額は08年10月に2兆円強まで落ち込んだ。ここにきて脱デフレ策への期待からめねーが再流入。オフィスなどの賃料相場も上昇するとの観測があり、海外投資家などがREIT市場に資金を投じている。

REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は22日時点で1576.40と07年5月の最高値(2612.98)をなお下回る。にもかかわらず、市場規模が拡大した背景には昨年12月以降、シンガポール政府系のGLP投資法など物流施設に特化した大型REIT新規上場がある。

世界最大のREIT市場である米国の時価総額は50兆円を超えており、日本も「10兆円を超える市場規模に成長する可能性がある」(外資系証券)との声もある。一方で「不動産賃料が実際に上昇しないと、一段の相場上昇や時価総額拡大は見込みにくい」との指摘も多い。

売買高が過去最高

東京証券取引所第1部の2012年度の売買高が22日時点で5215億株となり、年度別の過去最高を更新した。これまでの最高は、09年度の5191億株だった。

昨年11月に野田前首相が衆院解散を決め、新政権下で日銀が金融緩和を強化するとの観測から海外投資家が日本株への投資を増やした。1日あたりの売買高は活況の目安となる20億株を上回って推移するようになった。今年に入り、信用取引の規制が緩和されたことも、個人投資家の売買が活発になる一因となった。


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