市場、早期緩和見越す

大胆な金融緩和を掲げる黒田ちゃん率いる日銀の新体制が発足するなか、21日の金融市場では長期金利が一時9年9か月ぶりの水準まで低下し、日経平均株価も4年半ぶり水準に上昇した。市場は新体制を歓迎した格好だが、思惑先行の面もある。実際の政策が市場の期待に届かなければ、相場が逆方向に巻き戻す可能性もある。

債券市場では21日、長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時0.58%と2003年6月以来の水準に低下(価格は上昇)した。黒田ちゃんは「量的、質的に大胆な緩和を進めていく」と述べ、国債を中心に一層の資産を買い入れる姿勢を強調。債券市場は緩和強化を見越して、素直に債券買いで反応した。

JPモルガン証券の山脇ちゃんは「日銀の国債買い入れによって、長期金利は低位安定する可能性が高い」として、今後半年程度は0.5〜0.65%で推移すると予想。SMBC日興証券の末沢ちゃんは「03年6月の過去最低金利(0.43%)を下回る可能性もある」と指摘する。

外為市場でも円安基調が続くとの見方が多い。「米連邦準備理事会(FRB)が緩和の出口を模索する一方、日銀が緩和を強化するという方向性の違いは明らか。中長期的に1ドル=100円を目指す」(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・インベストメント・サービスの久保ちゃん)との見方が浮上する。

株式市場関係者の間でも相場はs小型く展開すると予想する声が多い。みずほ投信投資顧問の清水ちゃんは「2%の物価上昇目標を明確に約束しており、上場投資信託(ETF)などリスク資産を含めた資産買い入れを加速させるだろう」と指摘。株価の先高観が続く中外国人を中心に日本株買いが続くとみて「今後3か月で日経平均は1万2000〜1万4000円で推移する」と予想、今後6か月では1万4500円もあるとみる。

一方で、期待先行で進んできた円安・株高・債券高への警戒感も強い。市場の関心は、日銀の新体制が打ち出す「大胆な緩和」の具体策に移っている。

新体制が4月3〜4日に迎える最初の金融政策決定会合では、無期限緩和の前倒しや、国債の買い入れ年限の延長、資産買入れ基金の20兆円規模の増額などが市場で有力視されている。

既に緩和期待が盛り上がっているだけに、「日銀がどんな施策を打ち出しても、予想の範囲内に収まってしまう」(みずほコーポレート銀行の唐鎌ちゃん)との指摘がある。

日銀新体制成功の条件

3月20日、黒田ちゃんが就任して日銀の新体制が始動した。長年日銀を批判し、リフレ政策を提唱してきた岩田ちゃんの副総裁就任は新体制の最も期待できる部分のひとつである。

大事なのは新体制が成果を出すことであり、それはひとえに、これからの決断と実行にかかっている。ことに重要なのは出だしである。新体制は最初の決定会合で何をすべきか。

第1に一段の金融緩和の実行である。ここまでの株高と円高修正は金融緩和への期待によっていることを忘れてはならない。実際に日銀が大胆な金融緩和を量の面で示さなければ、市場の期待は早晩、失望に変わるだろう。

日銀のマネタリーベースは現在130兆円余りで直近では増えていない。目標達成までの無期限資産買い切りオペの前倒し、3年以上の長期国債の買い切り増額が必要だろう。最低でも毎月3兆円が必要だ。

第2に日銀文学からの決別である。政策決定会合の声明と総裁記者会見には、率直さと明瞭さが望まれる。白川体制では、日本のデフレの原因は金融政策以外に求められた。この点を決定的に反省し、日本銀行の金融政策もデフレの責任があることを宣言すべきである。新しい日銀には古い日銀文学からの決別が必要である。

第3にいわゆる出口論議の封印である。最近、金融緩和終了後の金融政策の在り方についての、出口議論がくすぶり始めている。

こういうとき、大概はどこかに火元があるものだ。それはよもや日銀ではないだろうが、金融緩和を始める前に出口を心配するとは時期尚早にすぎる。実はインフレ目標を掲げる限り、出口はすでに示されている。声明と記者会見で新執行部は出口戦略の正しい理解を進めるべきである。

日銀n新体制が成功するためには、政府にも果たすべき役割がある。第1に日銀の実際の行動を定期的に点検しなくてはならない。これは日銀新執行部に対する援護射撃ともなろう。

第2に今年の秋には消費税率引き上げの可否を判断することだ。増税時点では、見かけ上インフレ率は上昇する。しかし、結局のところ緊縮財政はデフレ脱却の足を引っ張る。増税の可否は慎重に判断すべきだろう。


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