教育資金 信託が争奪戦

大手信託各行は祖父母の孫に対する教育資金の贈与が非課税となる4月の税制改正に合わせ、相談業務にあたるコンサルタントを増員するなどして営業体制を強化する。教育資金の贈与に利用できる新たな信託商品をテコに、相続に関心を持つ中高年の富裕層顧客を開拓するのが狙い。信託銀行以外の金融機関にも参入の動きがあり、顧客の争奪戦は一段と激化しそうだ。

新商品の正式名称は「教育資金贈与信託」で、金融機関が祖父母から教育資金目的のお金を預かり、孫が30歳になるまで管理する。お金が教育目的に使われたかは金融機関が領収書などで確認する。三井住友信託、三菱UFJ信託、みずほ信託、りそな銀行などが新商品投入の具体的な準備に入っている。4月にも発売される見通しだ。

料金は未定だが、契約時と払い出しの際に一定の手数料を徴収する案が有力だ。ただ、一部の銀行は販売を優先して無料化する可能性があり、各行ともライバルの動きを見ながら慎重に料金を検討している。

各行は新商品で利益を出すことよりも、相続対策に関心を持つ顧客を取り込み、遺言新tなくなどの関連商品を提案することを狙っている。

三菱UFJ信託は今後2年間で相続など幅広い知識を備えた専門のコンサルタントを2倍の300人に増やす。三井住友信託も3割増の250人に増やす。相続から投資相談まで顧客の幅広いニーズに応える。

みずほ信託はみずほ銀行の副支店長級の人材を年間30〜40人受け入れ、3か月間の信託業務の研修を実施。銀行の支店に再配置し始めた。みずほ銀行経由で相続などの需要を取り込むのが狙いだ。信託免許を持つりそな銀行はグループの埼玉りそな銀行と近畿大阪銀行の店頭でも、りそな銀行の新商品を取り扱う方針。

三井住友信託が2月から全国109か所で実施した「税制改正セミナー」には例年の1.5倍の9千人が参加。同行は教育資金贈与に対する顧客の関心が高いとみて、追加のセミナーを各支店で開催する。

教育資金の贈与を目的にした新商品は預金の形態とすれば、メガバンクや地方銀行も販売できる。「顧客のニーズが高く、商品化を前向きに検討中」(静岡中央銀行)。新商品で顧客の富裕層をつなぎとめ、取引を信託銀行に奪われることを防ぐのが各行の狙いだ。

国債市場、アベノミクスに悲鳴

大胆な金融緩和などを掲げる安倍政権の経済政策「アベノミクス」に国際市場の関係者が悲鳴を上げている。20日に発足する日銀の市執行部が金融緩和を強化するとの思惑から国債利回りが急低下し、転売目的の証券会社は利ザヤの縮小に苦しむ。一方、アベノミクスの副作用で将来金利が急上昇(価格は下落)する懸念もくすぶり、機関投資家も先行きを不安視している。

「空前の低金利で利益はほとんど出ないし、顧客も資金をリスク資産に移し始めた。債券市場はアベノミクスの犠牲者だ」。国内証券の債券担当者は憤る。

日銀の新総裁に就く黒田ちゃんが衆院で「より長期の国債を大量に買っていくのが自然」と発言したのをきっかけに、新発10年物国債の利回りは3月上旬に一時0.585%と9年8か月ぶりの水準に低下した。

財務省は「国にとっては当面の国債の利払いが少なくて済む」(理財局)と金利低下を歓迎する。政府は金融緩和、財政出動、成長戦略を組み合わせ、金利を抑えながら物価上昇を促し、その後、緩やかな金利上昇に導く算段だ。

もっとも、政府が描くシナリオに対し、市場では懐疑的な見方も多い。

「日銀がどこまで金利をコントロールできるのか」「税収がきちんと確保できない中でのインフレであれば金利が急騰するリスクが高まる」。11日に財務省が保険会社などの機関投資家を集めた会合では、懸念の声が相次いだ。日銀の新執行部は債券市場のコントロールという難題に直面することになりそうだ。

超大型ファンド「復活」なるか

相場環境の好転で大型ファンドは復活するのか―。投資信託業界では、リーマン・ショック前に純資産額が数兆円規模にのぼった大型ファンドの動向に注目が集まっている。国債投信投資顧問が運用し、国内で資産規模が最大の「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)」もその1つだ。

円安で運用成績は堅調だ。2011年末からの基準価格(分配金再投資)の上昇率は26%で、リーマン・ショック前の水準を回復。だが、2gつも240億円の資金流出超過。純資産残高は約1兆5千億円強とピークの4分の1だ。

国際投信も、手をこまぬいているわけではない。専属の5人を配置する営業推進部を4月1日付で設立。新たな顧客開拓に乗り出す。

超大型ファンドの一部では、資金流入に転じる者も出てきている。果たしてグロソブは失われた残高を取り戻せるのだろうか。


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