イスラム金融 日本勢、アジア開拓

イスラム教の教義にのっとった金融サービスがアジアを中心に広がり、日本の金融機関が相次ぎ事業を拡大している。三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行はブルネイの政府系海運会社向けに1億8400万ドル(約160億円)の協調融資をまとめた。邦銀が手動した資源関連のイスラム金融方式の協調融資としては過去最大規模になる。みずほフィナンシャルグループもマレーシアでの参入準備に入った。

三菱UFJ三井住友がこのほど組成したブルネイの海運向け協調融資は、液化天然ガス(LNG)運搬船の追加導入が目的。「イジャーラ」と呼ばれるイスラム金融の手法を採用し、特別目的会社が船を購入し、海運会社にリースする形をとる。イスラム教の戒律では利子が禁止されているため、銀行団は金利の代わりにリース料を受け取る。

ブルネイは東南アジアのイスラム教国で、天然ガスや石油を産出する。両行は同じブルネイの海運会社に対し、昨春にも1億7000万ドルの協調融資を組成した。日本は福島第1原子力発電所の事故を機に天然ガスの輸入を急拡大しており、エネルギー源の安定確保を金融面から後押しする狙いもある。

三菱UFJはイスラム金融に注力するため、イスラム教国のマレーシアの現地法人にイスラム金融専門の部署を設置したほか、自公の金融取引がイスラム法に合致しているかを判断するイスラム法会社の委員会を立ち上げた。

東京スター銀、首位守る

「第9回日経金融機関ランキング」の「ローン商品の品ぞろえ」の項目で首位になったのは、前回に続いて東京スター銀行だった。個人向けのローン商品では、住宅ローンを筆頭に低金利競争が激しくなっている。商品設計を工夫したり、ローンの対象を広げたりして、借り手のニーズを発掘するような商品開発も求められている。

東京スターは独自の商品開発に定評がある。住宅ローンや無担保ローンに共通するのは「預金連動型」という特徴だ。ローン残高のうち、預金残高と同額分には金利が発生しない。預金残高を増やすことで、繰り上げ返済するように利払い負担を抑制できる。万一に備え、手元に預金を残せるのがメリットだ。

また、高齢者が自宅を担保に老後のお金を借りる「リバースモーゲージ」もある。借入期間中は金利だけを返済し、元本は死後、担保物件を売却するなどして返す。2012年にはリフォーム会社との提携で販路を広げ、融資の実行件数は前年比2割伸びたという。

ランキング上位には信託銀大手3社が入った。2位に躍進したみずほ信託は、賃貸用の集合住宅の建設・購入資金を貸し出すアパートローンが主力。賃貸住宅は相続税の評価額が小さくなるため税金対策で利用する裕福層が多く、みずほ信託はコンサルティングに力を入れている。13年度税制改正には相続税の課税強化が盛り込まれ、利用拡大が見込まれる。

新生銀行や中京銀行、京都中央信用金庫も順位を上げた。新生銀行は主力の住宅ローンに新商品を投入した。

海外送金 相次ぎ強化

地方銀行の間で、顧客企業の海外進出支援に向けて海外向け送金サービスを強化する動きが広がっている。常陽銀行や横浜銀行は取扱い通貨の種類を大幅に拡充。海外の専門業者と組んでサービスを提供する地銀も現れている。大手企業の海外展開などに対応して、地域の中小企業もアジアを中心に海外進出が相次いでおり、利便性を高めることで顧客企業を囲い込む。

常陽銀は韓国やインドネシア、インドなどアジア7か国・地域の現地通貨建てで送金できるサービスを始めた。個人事業主などを除く法人を対象に、現地工場の資金送金や輸入品決済などで使ってもらう従来は中国など4か国・地域の通貨に対応してきた。

常陽銀によると、これまで地方の中小企業の多くは主にドル建てで送金するケースが多く、進出先の現地通貨などでの送金ニーズはそれほど大きくなかった。海外当局の通貨や送金に関する規制の厳しさもあって簡単に広げられなかった事情もあったという。

しかし、アジアを中心に顧客企業の海外進出や海外事業拡大の動きが加速。常陽銀として海外2か所目の拠点となる駐在員事務所をシンガポールに開き、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けサービスを強化するのに合わせて拡充を決めた。

横浜銀行は海外の金融機関に送金できる通貨をこれまでの15種類から19種類に拡充。韓国ウォン、インドルピーなど4通貨を追加した。従来は送金申込みから送金まで1日かかっていた法人向けインターネットバンキングでは申込み当日に完了するサービスも開始した。筑邦銀行は外貨両替の英トラべレックスと組んで送金サービスを提供する。66種類を扱い、206か国・地域に送金できる。


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