台湾大手、邦銀買収へ

台湾大手の中国信託商業銀行が中堅地方銀行の買収に向け株主と交渉を進めていることが29日分かった。米投資ファンドのローンスターなどからほぼ全ての株式を約500億円で買い取る。外銀が邦銀を買収するのは初めて。2008年の金融危機後は邦銀が海外金融機関を買収・出資する動きが目立っていた。今後は海外勢も含めた国内再編が進む可能性がある。

中国信託はすでに株主側に500億円程度で株式を買い取る意向を伝えている。ローンスター、新生銀行、仏金融機関のクレディ・アグリコルなどは年明けにも中国信託の買収条件を検討し、受け入れるかどうかを判断する。株主の多くは売却に応じる方針とみられる。中国信託は詳細な資産査定をしたうえで、買収額を最終決定する。

中国信託は台湾の大手銀で、東京などアジア各地に拠点を持つ。東京スター銀の買収により市場規模の大きい日本で取引を拡大し、国際業務の収益を高める計画だ。

東京スター銀は経営破たんした東京相和銀行が前身で、08年に国内ファンドが特別木亭会社(SPC)を通じて買収した。ただ、リーマン・ショック後の収益低迷で買収資金の返済が滞ったため、ローンスターなどの融資団がSPCを通じて担保の株式を取得していた。

米リップルウッド(現RHJインターナショナル)や米サーベラス、ローンスターなど、これまで外資ファンドが日本の大手銀や地銀を買収したことはあったが、海外の銀行が邦銀を買収した例はない。金融庁は買収合意後の正式な認可申請を受け、主要株主の規定を定めた銀行法に基づき、中国信託が株主として適格かどうかを点検する。

国境を超えた銀行のM&Aは近年、相対的に財務が健全な邦銀が海外の金融機関を買収したり、出資したりする場合が多かった。米シティグループが旧日興コーディアル証券を売却するなど、外資が日本の陣容を縮小する動きも増えていた。

一方、母国市場が成長を続けるアジアの銀行は、国外に新たな収益機会を求めて活発なM&Aを進めている。資産規模や時価総額で日本の地銀に匹敵する規模の地場銀行も多く、中国信託の持ち株会社の時価総額(約6千億円)は大手銀行の横浜銀行(約5400億円)を上回る。今回のようにアジア勢が邦銀を買収対象とする例も増える見通しだ。

東京スター銀行

東京に本店を置く第二地方銀行。1999年に経営破綻した東京相和銀行が前身で、2001年に米ローンスターが買収。08年に国内ファンドに株式を譲渡した。経営不振で株式購入資金の返済が滞ったため、ローンスター、新生銀行など債権者が事実上の株主となった。

東京以外に大阪、名古屋、福岡などに店舗網を持つ。住宅ローンなど個人営業に特徴がある。9月末の預金残高は2兆675億円、貸出金残高は1兆5200億円。連結自己資本比率は10.92%。

中国信託商業銀行

1966年設立の台湾大手銀行で台北市が本社。「チャイナトラスト」とも呼ばれる。預金量は4兆円超と台湾の民間銀で最大規模で、最終利益は約500億円に達する。預金、貸し出しのほか、裕福層取引やカード、デリバティブなど幅広い業務を手掛ける。台湾の支店数は147。海外でも中国本土や香港、インド、米国、日本、ベトナムなどに67拠点を展開している。日本の支店は東京都港区にある。


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