住宅ローン参入 段階的に

政府の郵政民営化委員会は18日、ゆうちょ銀行が申請していた融資業務の参入を条件付きで容認した。住宅ローンはゆうちょ銀の直営82店で始め、5年後以降に全直営店に解禁する。中小企業向け融資は民間金融機関への配慮から見送った。金融庁は収益性やリスクの管理体制を見極めるとして認可に慎重で、ゆうちょ銀が目指す来年4月の業務開始は不透明だ。

民営化委は日本郵政グループの新規参入が妥当かどうかを審議し、認可権を持つ金融庁と総務省に意見する機能がある。ゆうちょ銀の貯金残高は約175兆円。巨大な金融機関の融資業務への参入で、民間との競争は激しくなりそうだ。

住宅ローンの参入は段階的に進める。当初はゆうちょ銀が提携するスルガ銀行の住宅ローンを仲介している82点で扱い、5年後以降に約230の全直営店に広げることを認める。

郵便局は全国に2万4千か所ある。ゆうちょ銀の直営店は東京、名古屋、大阪など大都市圏で郵便局に間借りしていることも多い。住宅ローンの上限はスルガ銀の基準に沿って2億円とし、幅広い利用者を見込む。

企業向け融資は大企業向けに限り認めた。経営規模の小さい信用金庫や信用組合が、ゆうちょ銀の業務拡大を懸念しているのに配慮した。ただ全国銀行協会などは間接的な政府出資が残る限り、ゆうちょ銀の貸付業務への参入を「容認できない」と反発している。

日本郵政は2015年秋の上場を視野に入れる。株主である政府は売却収入を東日本大震災の復興財源に充てる考えだ。日本郵政の株式価値を高めることが課題となる。民営化委のやっちゃんは18日の記者会見で「全体のボリュームから言えば(民間の金融秩序を)歪めるものではない」との認識を示した。

今のところ金融庁は認可に慎重だ。日本郵政参加の簡保生命保険が申請した学資保険の新商品の審査が残っているうえ、住宅ローンなどの新規業務の点検作業に時間がかかるとみている。同庁は「認可の可否を判断する段階にはない」とするコメントを出した。

激しい競争、収益課題

郵政民営化委員会がゆうちょ銀行の参入を容認した住宅ローンは競争の主戦場だ。貸出金利の引き下げや甘い審査が広がると、焦げ付きや収益悪化のリスクは増す。自公政権かで認可を指揮する金融担当相や総務相の人事も焦点になる。

ゆうちょ銀は融資の目標残高を5年後に約1兆円と設定している。これは地銀下位行の融資額にほぼ並ぶ。民営化委は年2回程度、金利の状況や融資残高で報告を求め、監視を強める。延滞の増加などで収益が思うように上がらなければ、日本郵政の上場計画に響く可能性もある。

全国銀行協会や全国信用金庫協会などは18日に出した共同声明で、新規参入を急ぐことで「財務基盤を損なえば、株式価値の減少を通じて国民負担につながる懸念もある」と批判した。

政権交代の影響は不透明だ。郵政改革の方向性を決めている改正郵政民営化法は民主、自民、公明3党の賛成で成立し、基本路線は変わらないとの見方が多い。

担当閣僚による認可を待つ日本郵政では新内閣の官房長官に有力視される管ちゃんの意向を気にする空気もある。管ちゃんは郵政民営化を進めた小泉純ちゃんの路線に沿い、民業圧迫に神経質ではないかとみられているためだ。


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