信託銀、シェア争い激化

大手銀行のシェア争いが激しくなっている。4月に三井住友信託銀行が発足し、ライバルの三菱UFJ信託銀行と法人向け信託業務で首位攻防戦を繰り広げる。年金や証券代行は多額なシステム投資が必要。信託報酬源や市場縮小の懸念が強まるなかで、再編を含めた規模の拡大戦略をいかに描けるかが競争力を左右しそうだ。

法人向け信託業務の中で受託競争が激しい分野の一つが年金信託。厚生年金基金や確定給付企業年金といった年金資金を運用管理する。9月末時点の年金信託の受託残高は、三井住友が13兆1000億円となり首位に立った。

三井住友を巡っては、4月の合併で同社への委託比率が急上昇することを懸念した企業年金側が、他社に委託を映す「シェア調整」の可能性が指摘されていた。ただ受託残高は微増となり、シェア調整の影響は軽微だったという。

今後は大きな環境変化が待ち受ける。AIJ投資顧問による年金消失事件を受け、厚年基金の制度廃止が議論になっている。制度廃止が政治日程に上がれば、約30兆円の大市場に影響が出るのは必至。制度の廃止を先取りした厚年基金の解散が相次ぐ可能性も高い。

年金信託の市場縮小に大手信託銀はどう対応するか。資産運用ノウハウを生かし、学校法人や事業法人の余資運用で攻勢をかけたり、海外で業務展開したりすることなどが想定される。

2強は布石を打ちつつある。三井住友は11月に大和証券グループ本社から欧州のファンド管理事業を買収。外国籍投資信託やヘッジファンドの管理残高を3年間で2.5倍の500億ドル(約4兆2000億円)に増やし、手数料収入を拡大する狙いだ。

再保険を投資対象に

東京海上ホールディングスは来年1月から、ヘッジファンドや年金基金などのプロ投資家を対象に、保険免許を持たずに再保険の収益を受け取れるサービスを始める。競争相手の少ない分野で、再保険事業の新たな収益源にする。

このほど新サービスの受け皿として再保険会社「シマ・リー」を英領バミューダに設立した。シマ・リーが引き受ける再保険のリスクに見合う金額を海外投資家に出資してもらう。投資家はハリケーンや地震などの大規模な災害が起きなければ出資に応じた再保険料を手にできる。東京海上はシマ・リーの管理手数料を受け取る。

損害保険の収支は大規模な自然災害の発生の有無によって左右されるため、世界の景気変動や金融市場の動向とは関連性が低い。投資対象の幅を広げたい海外のヘッジファンドを中心に関心が高いが、この業務を手掛ける再保険会社は世界で数社しかない。

東京海上は競争相手の少ない業務に参入し、安定した手数料を稼ぐ。年間約100億円規模の上る収益を上積みする。

格付け会社への逆風 世界中で広がる

日本の金融庁が主要国の金融当局に先駆けて格付け会社の行政処分に動いた。かねて格付け会社の在り方に問題意識を持っていた同庁首脳の意向が反映されたようだ。他の格付け会社にも波及しないか関係者は注視している。

米スタンダード&プアーズの日本法人への検査で、証券化商品のリスクを格付けに十分に反映させていなかったことなどが判明した。金融庁は再発n懸念が依然、残るとして業務改善命令を発動した。

豪連邦裁判所は11月、S&Pが実態以上に高い格付けを与え、投資家に沿うん室を与えたとして同社に賠償責任を認めた。イタリア検察は同国の国際を不当に格下げした疑いなどでS&Pなどの幹部らの起訴を請求した。イタリアのケースなどは「格下げへの報復」との思惑を呼んだ。格付け会社の逆風は世界で広がっている。


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