ベトナム大手銀に出資 三菱UFJ、20%の600億円

三菱UFJ銀行はベトナム2位のベトナム産業貿易商業銀行(ヴィエティンバンク)に約600億円出資する方針を固めた。同国政府が保有する株式20%を取得する。豊富な拠点網と顧客基盤を持つヴィエンティンと組み、日系企業への支援を充実させるとともに、旺盛なアジア企業の資金需要を取り込む。アジア各地の有力銀行との資本提携を軸とする三菱UFJの戦略が本格的に動き出す。

月内に正式決定し、来年前半の出資完了を目指す。三菱UFJはヴィエンティンを持ち分法適用会社として、役員の派遣なども検討する。20%の出資は同国の規制の上限で、外国銀行が同国銀に出資する規模として最大の案件となる。

三菱UFJはタイ国内5位のアユタヤ銀行への出資を検討しているほか、インドネシアの銀行との提携も探っている。ヴィエンティンバンクは総資産ベトナム2位の商業銀行。国営ベトナム工商銀行が前身で、国内に約150の支店網を持つ。三菱UFJは出資にあわせてヴィエンティンと業務提携する。ベトナムは9月の中国の反日デモ後、日系企業の新たな海外進出先として注目されており、日系企業向けの決済や送金などのサービスなどのサービスを拡充する。

アジアの高い成長の取り込みも目指す。三菱UFJは、2012年度から3年間でアジア地域の税引き前の粗利益を5割伸ばす計画を立てた。今回の出資はそのための具体策の一つ。ベトナムを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)はアジア地域の収益の約4割を占め、中国と並ぶ主戦場として力を入れる。

ヴィエンティンの顧客基盤を生かし、現地企業の貸出や決済の需要を取り込む。さらにベトナムに進出している欧米企業などとの取引も増やす。また、ベトナムでは経済成長に伴って様々な個人の金融取引も広がる見通しで、個人金融のネットワークを確保する狙いもある。

三菱UFJは「バーゼル3」と呼ばれる新自己資本規制をすでに達成するなど強固な財務基盤を持つ。日系企業の進出が加速し、王政な資金需要が見込めるアジアで攻めに出る。インドでは新たな拠点を開設する予定。欧米の有力銀行や地場銀行との競争も激しくなりそうだ。

欧米大手銀の日本撤退

英スタンダード銀行は東京の中心に粋な装飾の視点を構え、裕福層向けの営業を続けてきた。だが来春、この視点を閉鎖、同事業から撤退する。外国銀行の間で世界3位の経済大国での事業を縮小する動きが広がっており、その最新事例となる。

6月には英ロイズTSB銀行が日本国内の個人向け海外送金部門を新生銀行に売却し、定期預金業務も徐々に縮小すると発表した。英HSBCもすでに日本で裕福層向けの事業から撤退した。

ある外銀のアナリストは「どこも最小限に絞ろうとしている」と指摘する。日本の存在感低下の背景には、欧米の金融機関が世界中で人員を減らし、海外業務の縮小と競争力を発揮できる市場への資源集中を進めていることがある。

米シティグループは今月、1万1千人の人員削減を発表。スイスのUBSは1万人、クレディ・スイスは3500人の削減計画を明らかにした。一方、東京は金融センターとしての地位を脅かされている。9月に集計された最新の「グローバル金融センターインデックス」によると、世界の77の金融センターのうち東京の順位は昨年の5位から今年は7位に後退。新拠点開設候補の10都市にも選ばれなかった。

さらに、日本特有の問題もある。一つは金融市場の低迷で、高い営業コストに見合う収益を上げられなくなったことだ。日経平均株価はリーマン・ブラザーズの破綻前に比べおよそ20%低い水準にあり、東京証券取引所の1日平均売買代金は2007年の3兆円から今年は約1兆円に落ち込んでいる。

モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン・チーフエコノミストは「金融セクターが活性化しなければ日本経済の再生はない」と言い切る。東京はビジネスには難しいという評判も定着した。「日本市場はオープンでなく、外資を進んで受け入れない。ニューヨークやロンドンは正真正銘の『多文化のるつぼ』だが東京は違う」と外国のファンドマネジャーは話す。


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